ちくま新書「公立中高一貫校」著者の小林公夫先生からメッセージを頂きました

ちくま新書「公立中高一貫校」
~受検を考えたときに読みたい本~

ちくま新書「公立中高一貫校」今回は、公立中高一貫校対策センター「おすすめ本」のご紹介です。

公立中高一貫校の過去問や対策といった書籍は、書店でも多く見かけることと思いますが、この本では、公立中高一貫校という制度の意図するもの、何が子供たちに求められているのかといった面、また、受検を迎える子供に対し家庭では保護者の方がどのようにしたらよいかといった点についての詳解がメイン。いわば、公立中高一貫校の根幹とでもいうべき部分について触れられています。

もちろん、全国の適性検査の分析などについても解説されていますので、これから受検に向けてどのような対策をしていったらよいのかを考えるためにも、ぜひとも読んでおきたい1冊です。

公立中高一貫校の受検を考えている親御さんへ
~著者・小林公夫先生からメッセージ~

本書には大きくいくつかの特徴があります。

まず、一つめとして現在人気が急上昇中の公立中高一貫校について、その成立と人気の背景を親御さんへのマーケティングデータ(ベネッセ教育研究所のデータ)をもとに検証しています。
その上でこの「新しいブランド」公立中高一貫校の存在が今後の受験地図にどのような影響を及ぼすかを首都圏、地方に分けて分析を試みています。この記述は日本の受験の動向について受験力学の観点からまとめたもので、お住まいの地域に公立中高一貫校が新たに開設されることで今後どう受験戦線が変化していくのかを考える上で参考になると思います。

二つめの特徴は親御さんが最も興味を抱かれている「どんな子どもが受かるのか」について塾や教育産業の関係者に取材し、「合格する子ども像」を具体的に明らかにした点です。
更に「合格する子ども像」と密接な関係になりますが、入学時に課される適性検査、作文で問われる能力についてパターン別に類型化し、家庭での受検対策が可能となるよう具体策を示しています。
その上で、三つめの特徴として、実際にどういう子どもが合格するのかについて昨年公立中高一貫校に合格した親子3組にご登場頂き、合格のための勉強法、通われている公立中高一貫校の特徴などを親と子それぞれの視点で紹介しています。この生きた取材に目を通せば、皆さまのお住まいの地域あるいは受検予定の学校のレベルに違いはあるにせよ、合格のためにどのような戦略が必要かのヒントが得られると思います。

又、四つめとして子どもを公立中高一貫校に合格させるために、家庭で何ができるかを私なりに明らかにしています。
私はこれまで、人間の能力を日本で実施される様々な試験との関係で解明するという作業に力を入れてきました(この取り組みは東大受験漫画「ドラゴン桜」9巻にも紹介されています)。
今回の研究もその延長線上に位置付けられるもので、「公共心を育む」、「利益衡量能力を身につけさせる」など私が考える四つの方策を親御さんによく分かるように解説しています。

最後に、公立中高一貫校の受検対策として全国103校の適性検査・作文問題に関して分析を加え巻末に一覧としてまとめています。
この一覧表に目を通されるだけでも、今後どのような問題が出題されるのか、公立中高一貫校が好んで出題するテーマは何か、その傾向が把握でき効率的な受検対策ができると思います。

本書を読まれ、皆さまの公立中高一貫校受検対策の一助になれば著者としてこの上ない幸せです。

著者のご紹介

顔写真小林 公夫(こばやし きみお)

一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了
法学博士(一橋大学)

法学博士であり、資格専門予備校で医学部や法科大学院合格者を多数輩出する。一方で、中学受験のみならず、教学社『赤本』では、東京大学後期総合科目3の責任解答者も務めていらっしゃるという受験のエキスパート。
主な著書に『「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』『中学受験に合格する子の親がしていること』『子供のための苦手科目克服法』(PHP新書)などがある。

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